過去は過去 No,253

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先日、まさかと言うような窃盗犯罪がありました。普通、金庫というものは大事なものを安全に保管するために使うものですが、さらに大事なものは家に置いとくより銀行の貸金庫に預ける、と言うのが常識です。ところが、その貸金庫から銀行の人間が盗むという、考えもしなかったことが起こってしまいました。

その原因は何かと言うと、ギャンブルにのめり込み、負けを取り戻そうとしてズルズル深みにはまっての犯罪です。昨年の大谷翔平君の通訳である水原一平氏の横領も原因はネットギャンブルによる借金でした。その他、世の中にはギャンブルによる負けから犯罪に手を染める例は、山ほどあります。

なぜ、そうなるのかを分析すると、まず最初に、人間の性(さが)として利益を得る喜びより損失を被る痛みの方を強く感じる、と言うことがあります。なので、負けると、何としても取り返そうという心理が働くのです。例えば、次のA、Bであれば、どちらを選びますか? A=確実に3万円儲かる。B=10万円儲かる確率は3人に1人、残りの2人は0になる。さて、どちらを選びますか? この答えは、80%以上の人がAを選ぶようです。しかし、Aの期待値は3万円しかありませんが、Bの期待値は3回に1回10万円ですから、1回あたりは33333円になります。計算するとBの方が得のようですが、確実に利益になるAを選んでしまいます。では次はどうでしょうか? A=確実に10万円損する。B=5人に1人は損が0になるが、残り4人は13万円損する。さあ、どっちを選びますか? 今度はBを選ぶ人が90%近くいるそうです。 では、期待値はどうか、Aは、マイナス10万円。Bは、マイナス10万4000円。 先ほどと同様に得な方を選ばず、期待値の低い方を選ぶ。つまり、多くの人は今よりプラスの金額で提示されると、そちらを選ぶが、損が確定する金額で示されると、損失が0になる可能性がある方を選んでしまう。これは何を意味するかと言うと、ギャンブルで負けると、そのままなら損が確定してしまうので、それが嫌で、その損を取り返そうとして、また賭けてしまう。その繰り返しでドンドン負けが大きくなる。逆に、少し勝った場合は、利益を確実にしたいので、まだ勝てるケースでもちょっとの利益でやめてしまう。これを損失回避バイアスと言います。

次に、人間は往々にして自分の都合の良いように考える確証バイアスが働きます。サイコロを振って、奇数か偶数か? 奇数が3回続いたとしたら、次は偶数の可能性が高いだろう、と考えがちですが、確率は今までと同じ50%です。ギャンブルで、これだけ負けたら次は勝つだろう、などと考える人が多いですが、全く根拠はありません。

これらを株のケースで考えると、100株100万円で買った株が90万円に下がるとマイナスは10万円なので、取り戻したい気持ちが強く働き、さらに90万円で100株追加買いをする。さらにそこから、80万円に下がれば、使ったお金は190万円だが売れば160万円、合計30万円の損です。さあ、どうする、ここらでもう上がるだろうと、さらに80万円で100株買い増しする。ところが、それが70万円になれば、使ったお金270万円に対し、売れば210万円と60万円の損。こうなると、定期貯金を解約して、どう考えても、もう上がるだろうから一挙に挽回しようと、70万円で300株買い増す。しかし、株はまだまだ下がり結局、50万円にまで下がった。さあ大変、使ったお金は600株で480万円、今売れば300万円にしかならない180万円の損、どうしよう・・・・。そこでようやく冷静になると、負けの大きさに愕然として、もうこれ以上のマイナスは出せない、さらに下がったらどうしよう、と言う強迫観念から、仕方なく売却。結果、180万円の損になってしまいます。逆に、1株100万円で買ったものが110万円になったら、今売ったら10万円確実に儲かる。そのまま置いといて下がったら、下手したらマイナスになる、じゃあ売ろうと考え、10万円の儲けで売ってしまう。このように、負けるときは、マイナスが嫌なので、さらにつぎ込むが、勝った時は少ない金額で確定させる。大体、株やギャンブルで負ける人は、こんな感じです。

もう一つ、大事なのは、投票券へ記入したり、ネットの入力では、1000と10000の違いは0が一つ多いだけです。何かと言うと目の前の現金と異なり、賭けている感覚がなくなってしまうのです。カジノのチップもそうですが、ちょっと色が違う、ちょっと大きさが違うだけでお金の桁が10倍も100倍にもなるのですが、少しくらい無くなっても現金が無くなるという感覚にならず、ついつい使ってしまうのです。だから、ギャンブルをするなら、目の前で財布から現金を出して賭けることに徹して、今あるお金だけで勝負することです。間違っても、クレジットや後払いなどの借金ができる状態では、絶対にやらないこと、これが大事なポイントです。大体犯罪に手を染めるのは、自分が持っているお金が無くなったからではなく、自分が持っているお金以上に借金してやるから、にっちもさっちも行かなくなるわけです

そして、もっとも大事なのは、過去は過去。負けは負け。やったことを引きずらないことです。負けたときは、自分のバカさ加減を噛みしめながら、後悔と情けない思いを味合うことです。ギャンブルとは、そんなものです。ただ、それを味わいたくないから勝つまでやろうとする。ところが、ギャンブルで絶対に勝てないことは、カジノで勝てる方法はありますか?と言う問いに対して、昔マカオのカジノ王、スタンレー・ホーが言ってた、「ひとつだけある、それはカジノを経営することだ。」と言う言葉にすべてが凝縮されています。つまり、ギャンブルは長くやれば、必ず負けるのです。だから、過去は過去、負けは負け、と割り切らないといけません。

ギャンブルに限らず、人生全て過去は過去。終わったことにくよくよするより、これから先を考える方が絶対にプラスが大きいのです。・・・・と言いながら、これ、ほとんど自分に言い聞かせているような気がして、何か寂しくなってきましたので、この辺で終わります。みなさん、とりあえず、がんばりましょう。→すみません、自分に言い聞かせてます。

 

(もう一言)

さて、過去は過去と言う言葉で思い出すのが、昔、ニッセンでコストダウンを徹底してやろう、と言う取り組みをしていたときのことです。その時、私は、「過去は問わない。」と言うことを常に言ってました。例えば、何かコストが下がることが分かった時、仮にそれが、担当者が今まで勘違いしてたことや、他社では普通にやっていて今頃わかったのか、という単純な事例であっても「今まで何をしてたんや!」などと上位職の人が怒るのは大間違いです。これから先、良くなることであれば「過去は問わない。」「良く見つけた。」と逆にほめるべきでしょう。なぜなら、今やっていることが全て正しいわけではないので、現実には、ちょっとくらいの見落としやチョンボのようなものもあるはずです。それを見つけても、「今まで何してたんや。」などと怒られては、誰も今までの間違いを修正などしません。「これから先、良くなることなら一切過去は問わない!」そう言うから、みんな頑張って、今までのやり方を見直すのです。私は、それで良いと思ってやっていましたし、今でもそう思います。 

現役のみなさんも、「過去は問わない。」と言う姿勢で、今までのやり方を見直してみると、良いかも知れませんね。

では次は2月10日ころに更新しようと思います。

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