被団協に平和賞 No.243

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今年のノーベル平和賞が、被団協(日本原水爆被害者団体協議会)に決まりました。大変すばらしいことで日本人として喜ぶと同時に、長年にわたる原爆被害者の方々の地道な努力に頭の下がる思いです。被団協は、1954年のアメリカビキニ環礁での水爆実験にマグロ漁船「第五福竜丸」が被爆し、大きな問題になったことがきっかけで設立されたようです。広島、長崎に原爆が落とされて、わずか9年後、まだまだ被爆地の復興はならず、焼け跡も残る時代に「このままでは、また核兵器が使われる。それを少しでも阻止しよう。」と立ちあがった訳ですが、私は、ビキニ環礁の核実験と言うと、どうしてもまず先にゴジラを思い出してしまいます。ゴジラ誕生のきっかけもビキニ環礁での水爆実験により核の脅威が高まったことを題材に作られました。被団協とゴジラを同じように論じては、申し訳ないですが、被団協は、地道に被害者自身の経験や目撃証言を世界に広め、ゴジラはエンターテイメントで核の怖さを広げ、どちらも核について考えるきっかけを世界に示したことは事実です。

そして、昨年ゴジラの最新版”ゴジラー1.0”が世界で大ヒットし、今年は原爆の生みの親と言われるオッペンハイマーの生涯を描いた映画がアカデミー賞で7部門を受賞しました。さらに今回の被団協のノーベル賞受賞と原爆投下80年近くの年月を経て、立て続けに核兵器に関する話題が世界に発信されました。これを機会に核廃止への動きが高まることを期待しますが、平和賞に対する世界の反応を見ると、欧米では概ね賛同のコメントが多いですが、実際には長年核廃絶の動きはほとんどなく、被団協の方々の努力とは裏腹に、年を経るごとに核を持つ国が増えているのが現実です。この点は被団協の方々も悔しい思いをしているだろうし、このことをもって、被団協の活動に対して結果的に成果がないと批判している人たちもいるでしょう。ただ、被団協の方の努力が核の悲惨さを世界に知らしめたのは事実なので、核を持っていても使うかどうか、と言うときには、為政者だけでなく、その国の国民を巻き込んで、踏みとどまらせる、と言う効果は大きいのではないでしょうか。

これからも、ぜひ、世界中の人々に核の悲惨さを伝えていってほしいし、それは世界でただ一国日本だけが核の被害を受けた国としての責務ではあります。しかしながら、声を大にして言いたいのは、日本は世界でただひとつの被爆国であると同時にアメリカは世界でただ一国の核加害者です。なぜ原爆を使ったのか、原爆を使う必要があったのか、どういう経緯で原爆が使われたのか、(今年3月29日のブログを参照)その辺を明確にし、トルーマンはじめ、たった数人のエゴで20万人と言う民間人を死に追いやり、いまだに苦しんでいる人がいることが正義であったのか、同じことが起こらないためにも、日本は、そして日本政府は世界中に問うべきです。

日米同盟でアメリカと仲良くすることを否定はしませんが、是々非々で物事を判断し、追及するべきはしっかり行う。そして、トルーマンはじめ当時のアメリカ政府首脳が、間違っていた、という見解をアメリカ自身が世界に発信することが被団協などの平和活動団体を認める第一歩のように思います。

 今回のノーベル平和賞受賞は、今まで被団協のことを知らなかった人も核のことを考えたこともなかった人も、核について話題にできたことで、大きな成果があったと思います。できれば日本に来る3000万人の外国人観光客に、もっと広島や長崎の原爆資料館を見てもらうような工夫はできないものでしょうか? 例えば、外国人は入館料を無料にし、入館証明書を見せればホテル代を割り引くとか、いろんな工夫をして原爆資料館を見てもらえば、何かしら考えるキッカケになります。そうすれば、現在3000万人も海外からきているのに、広島、長崎の資料館には3%くらいしか行っていない現状も、少し変わるように思います。そして、そこには原爆の犠牲になった資料を見てもらうだけでなく、出口には「アメリカは、本当に原爆を使う必要があったのでしょうか?」と問いかける立札を設置して、世界の人たちにも考えてもらうようにすべきです。何なら、平和公園にも「過ちは繰り返しませんから。」ではなく、「本当に原爆を落とす必要があったのでしょうか?」と言う碑を建てても良いように思います。

(あとがき)

被団協のノーベル平和賞受賞の際に日本共産党の委員長が真っ先にコメントを出して、「・・核兵器全面禁止を求める大きなうねりを生み出し・・・心からの敬意を表します。」などと言ってましたが、日本共産党は1960年代からしばらくソ連崩壊くらいまで、「ソ連や中国などの社会主義国の核兵器開発は、帝国主義に対抗するためであり、許されるものである。」などと言って、西側諸国の核兵器開発とは違う、と言ってました。いったい何が違うのでしょうか? このような考えが、自分たちだけは核兵器を使用してもよい、という危険な考え方になるのだと思います。核兵器の怖さを発信すると同時に、当たり前のことですが、「主義主張が違っても国が違っても肌の色が違っても皆同じ人間である。だから、核に限らず、被害にあえば、誰もが等しく悲しむ。」ことを世界中の人々が認識することが重要ですね。

次は、月末くらいに更新します。

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