急がば回れ No.230

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「急がば回れ」と言うことわざができたのは、室町時代の連歌師宗長が歌った「もののふの矢橋(やばせ)の船は、早けれど急がば回れ瀬田の長橋(唐橋)」からきています。当時、京の都に行くには、近江八景矢橋の港から対岸の大津まで船便の方が時間も短く利用客も多かったのですが、時々、比叡おろしなどの突風で船が遭難することもあったようで、重要な人や物を運ぶ時には、船便ではなく陸路で瀬田の唐橋を通った方が、時間がかかるがリスクを考えると結果的にそのほうがいいよ、と言う意味で使われていました。この「急がば回れ」はビジネスをする上でも非常に重要な意味を持っています。物事を成功させようとして、いろんな手を打ちますが、売り上げを上げたい時に「値引」「販促」と言った短期的で手っ取り早い手法のみに頼っていると、たまにうまく行ったように見えても、すぐに元に戻り、費用だけが嵩(かさ)んでくる。さらに、お客様は値引きしないと買わない、それがエスカレートしていくと、値引きや販促の効果がなくなる事にもなりかねません。そうではなく、売り上げを上げたいのであれば、なぜ買っていただけないのか、もっと買っていただくためには、自分たちに何が足りないのか?そんな本質のところに手をつけないといけません。ただ、本質の改革と言うと時間がかかります。費用もかかります。その間、売り上げは低迷し社員の収入も減るかもしれません。しかし、やってることが正しいと信じて我慢してやり遂げないと、改革はできません。まさしく、「急がば回れ」で大変ではありますが、目先の劇薬(値引きなど)に惑わされてはなりません。ところが、最近、目先の劇薬ばかりに目が行ってるんではないかと思ってしまうのが、岸田政府の施策です。”増税メガネ” と言われたら、”定額減税” さらに給与明細に記入して国民に知らしめることなど、バカな費用がかかるだけで、意味がない策です。減税はありがたいが、新たな経済活性化の策や防衛費、環境問題、人材育成など、今の日本にはまだまだお金のかかることが山積みです。増税しようが国債を発行しようが、まずは必要なものに金を回す。また、政治と金の問題も、早く終わらせようと新たに法律を作って幕を引こうとしています。すべてにおいて短兵急(たんぺいきゅう)で、やるべき本質の改革とは程遠いのが現状です。今こそ、「急がば回れ」。しっかり時間をかけて本質の改革を進めることが求められているように思います。そして、国民もすぐに減税とか補助金とか国に頼るだけでなく、必要な我慢は受け入れなくてはなりません。ただ、そのために大事なのは、為政者やトップをどれだけ信頼できるか、信頼に足る人が言うことであれば、我慢もできますが、信頼がない人の言うことは、いくら良いことを言っても「その通り」とうなずくことはできません。そう考えると、今の政府にとっての”急がば回れ”は、短期の人気取りより本質への投資、さらには、それよりも先にまず国民から信頼される人間性の向上が前提条件なのかもしれません。と言うことは、今の岸田政府にとっての”急がば回れ”は、矢橋から瀬田の唐橋経由どころか、矢橋から北の彦根、長浜、さらに北から琵琶湖西岸の高島、比叡山を越えて、大原あたりから京の都に入る、くらいの遠回りになるのでしょうね。しかしながら、日本にとっては、結果的にその方が良いかもしれません。ぜひ、時間がかかっても、信頼される政党、信頼されるトップを目指してほしいですね。

 

(あとがき)

幕末から維新にかけて「急がば回れ」を本気でやった人がいます。戊辰戦争で敗れた長岡藩は、藩士の食べるものもないくらいに貧しい状況でした。それを見かねた他藩から「米百表」が送られてきて、藩士たちは「これで一息つける。」と喜びましたが、長岡藩の大参事であった小林虎三郎は、「この米を2~3日で食べつくして、何が残る。」「国がおこるのも滅びるのも、また町が栄えるのも衰えるのも、ことごとく人にある。」と言って、教育のために使いました。その後、虎三郎のおかげで多くの優秀な人材が輩出され、その人たちは長岡だけでなく国全体にも貢献しました。(何人かの大臣や山本五十六など多数)やはり、目先の損得や人気取りでは、大きな仕事はできませんね。今回は少し早めに更新しました。次回は、6月10日前後です。

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