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今回は少し手前みそになるかも知れませんが、写真は、9年前の東日本大震災の時にニッセンから被災地の小中学校に送った本です。右の本の題名”ハチドリのひとしずく”は、南米の原住民に伝わる話で、その内容は、「森が燃えていました。森の生き物は我先にと逃げて行きました。でも、クリキンディと言うハチドリだけは、行ったり来たり、くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは、火の上に落としていきます。動物たちはそれを見て、そんなことをして一体何になるんだ、と言って笑ってます。それに対して、クリキンディはこう答えました。”私は、私にできることをしているだけです。”」全文でこれだけです。しかし、何とも含蓄にとんだ考えさせられる内容ではないでしょうか。
9年前、当時私はニッセンの社長をしていました。東日本大震災が起こって被災され苦労されている方たち何かできないか、と考えた時にたまたまこの話を聞いたことがあったので、物語と同じハチドリのひとしずく程度かも知れませんが、商品1点につき10円を集めて、寄附をしようと思いつきました。結果は、比較的短期間に5000万円の寄付が集まり、それだけではなく、日本全国のお客様から被災された方に一言伝えてほしいとたくさんの激励も集まりました。それを本にしたものが、”ハチドリが運ぶ1253のことば”です。
今読んでも、全国の名もない人たちの激励、やさしさ、一緒に悲しむ言葉等々、その間に集まった1253人のお客様からの心のこもった思いやりが詰まっていて、胸を打たれるものがあります。その時に、こういう優しい”人の心”がある限り、人間は困難にも必ず打ち勝って行くんだなあと感動したことが思い出されます。
この物語、「ハチドリのひとしずく」は発行元に頼んで特別に増刷してもらい、「ハチドリが運ぶ1253のことば」と共に
箱に入れて、被災地の小中学校へ数千冊ほど配りました。将来、それを読んだ子供たちが、被害は大変だったけど、多くの人たちが暖かく見守ってくれたことを知って、人のつながりの尊さのようなものを感じてくれたら幸いです。
災害や困難は起きてはならないことですが、つらい経験をするたびに人間の結びつきや優しさは、ますます強くなって行くようにも思います。今まさに新しい災害、コロナウィルスが世界を混乱に陥れてます。日本が世界が一つになって、乗り越えねばなりません。非常事態ですから、イベントも中止になりますが、個人個人もやりたいことも我慢をする。デマに踊らされて一部の商品を買い占めることなど無いように冷静に行動し、これから身の回りにも出てくる罹患者も被害者なのですから嫌悪感で毛嫌いしてはいけません。
こんなときだからこそ、人として信頼され、尊敬されるように行動することを求められていると思います。例えば、こんな時に発生源の中国を責めるのも情けないことです。こんな時だからこそ、逆に励まし、応援し、一緒になって立ち向かわねばなりません。また政府や自治体等が何かやるときも批判ばかりしている場合ではありません。効果が薄いとか、今さら~とか過ぎたことにケチをつけるだけでは何もよくなりません。確かに、一人一人のできることは、ハチドリのひとしずくの様に小さい事ではありますが、物語の中で、ハチドリの言う「今、私にできることをやるだけ。」、今はこの気持ちが何にも増して大事なのではないでしょうか?
(あとがき)
「ハチドリのひとしずく」の話しには、続きがあると思っています。私の創作ですが、たぶんそれは、こんな話ではないでしょうか?
「ハチのような小さな鳥がくちばしで水を含んでは、何回も行ったり来たりしながら一生懸命に火の上で水をポトリポトリと落とす姿を見ると、他の動物たちも少しずつ森に戻ってきました。そして、象は火が広がらないように木を倒し、ワシや大きな鳥たちは羽根で風を起こして火を消そうとします。また、ジャガーや豹は早い足を活かして森に残された小さな動物たちを助けに行きました。他の動物たちも自分のできることで一生懸命に力を合わせ、森の火事はそれ以上広がることなく消えてしまいました。それ以来、生き残った動物たちは、末永く仲良く暮らしました。」
2011年3月11日の東日本大震災以降も全国で世界で災害や戦争など、毎年大きな災いに遭遇しています。まだまだ、元の生活に戻れない人たちもたくさんいることでしょう。一刻も早く、復興することを祈っています。これからも、私たちは、ハチドリの様に自分のできることをやって行きたいですね。
あらためて、震災で犠牲になった方のご冥福をお祈りして、「合掌」