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タイトルは、西郷(せご)どんに物申すと言いながら、今年の大河ドラマは、久しぶりに毎週楽しみに見ています。
林真理子の原作と聞いて、西郷隆盛の骨太の物語をどう表現するのかな?と思っていましたが、
いろんなタイプの女性が魅力的に描かれたり、奄美や琉球を薩摩がどのように扱っていたかなど、
なかなか見ごたえのある展開で、しかも出演者の演技力や方言の正確さなど、毎回画面に引き込まれていきました。
こんな素晴らしい番組に物申すことなど、ほとんどないのですが、
これだけは許せないなと言うのは、鶴瓶の岩倉具視!
あの時代の公家が、「お前ら何言うてんねん、マロの言うたとおりにせんかい。」などとコテコテの大阪弁を使うか?
あれは、いかんなあ。
せっかく、フランス料理のフルコースを頼んだのに、ワイングラスの代わりに欠けた湯のみ茶碗が出てきたり、
メインのお皿が紙の使い捨ての皿だったりしたら、台無しですよね。
鶴瓶の岩倉に、それに近い感覚を抱くのは私だけでしょうか?
(もし、これを読んでいるみなさんもそうだと思われたら、このホームページの「お問い合わせ」から、
自分もそう思うと、メールしてください。「お問い合わせ」のメールがほとんどないので、誰か使ってみてください。)
鶴瓶ほどではないですが、遠藤憲一の勝海舟も軽すぎる。(元々、個人的に勝海舟は好きではないので、誰がやっても
文句を言ってると思います。)
ちょっと脱線ですが、なぜ勝海舟が好きではないかと言うと、
まず江戸城無血開城の幕府方の最大の功労者は勝海舟ではなく、
山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)だと思っています。
当時、勝の側近だった山岡が単身、自らの命もかえりみず、
敵方である西郷の陣所に乗り込んで直談判をした結果、西郷が山岡を評して
「命もいらず名もいらず、官位も金もいらない人は始末に困る。
ただ、このような人でなければ大きなことはできない。」
と感心し、江戸城無血開城を決心させたらしいのですが、
勝海舟はある程度結論が出た後にいいとこだけを持って行って、
俺がやったなどと自慢しているふしがあるので好きではないですねえ。
ちょっと脱線しましたが、
ドラマの主人公、西郷隆盛については誰もが知る維新の偉大な功労者で魅力のあるリーダーですね。
物事の判断をする時は公平に、何が正しいかを考え、好き嫌いで判断しない。
また、自分の事よりも人のことをまず考えて、私利私欲とは無関係の生き方。
時の政府要人が大きな邸宅に住み妾を囲って、日々贅沢な暮らしをしていたのとは、真逆の生活で
せっかく用意された邸宅にも住まず、長屋で生活していたり、周りが豪華な弁当を食べている時に
自分だけ握り飯を食べていた、しかもある時、その握り飯が落ちたら、拾って何事もなかったように
食べていたと言うから、すごいですね。
ですから、明治6年に官職を捨てて郷里の鹿児島に帰った時は、600人もの人たちが
西郷を慕って辞職したそうです。
鐘の音みたいな名前の自動車会社の会長とは、えらい違いですね。
ドラマ西郷どんに戻りますが、
あえてもう一つ言わせてもらうなら、大久保の事を悪人のように描く演出は誤解を招くかなと思います。
昔から鹿児島の人は、西郷さんは英雄、大久保は西郷さんを裏切ったと言って、
もう一つ人気がないのですが、ドラマの展開からすると、その考えに拍車がかかりそうで、
全国から、大久保=西郷さんを裏切った=ひどい奴、という声が聞こえてきそうです。
でも明治の礎を作ったのは、大久保の方で西郷は破壊が専門だったとも言われています。
しかも、
西南戦争で士族の反乱を鎮めて、士族から反感を買い、また、私腹を肥やしているという理由で暗殺されるのですが、
その後に判明したところによると大久保は、私腹を肥やすどころか、個人で借金をして
政府の施策がうまく実行できるよう使っていたりしており、
財産と言う財産はなかったそうです。
そして、お金を貸していた側もそれが何に使われていたのか理解していたので、
死後、借金を取り立てることもないくらい信頼されていたそうです。
大きなコストカットをしたり、
急激に大変革を成し遂げようとしたり、いろんな摩擦もあったでしょうし、
強引だとか、冷たいとか、いろんなことも言われますが、やはり維新の傑物、
日本の将来のため、自分の信ずるところに真っすぐですが、それは自分のためではなく、
国家国民のためにやったことだという証拠だと思います。
偉大なリーダーの一人ですね。
やはり、どこかの自動車会社の会長とは、えらい違いです。
また、
西郷の事は自分が死ぬまで尊敬しており、常に西郷からもらった手紙を懐に入れて偲んでいたともいわれています。
なので、決して西郷を殺そうと思っていたのではないので、
これからのドラマの展開で悪者のイメージが定着しないことを祈っています。
さて、
西郷さんの遺した言葉には、いろいろありますが、
その中の一つに「徳高き者には位を、功績あるものには報酬を。」という言葉があります。
これは、企業の人事政策にとって非常に大事なことだと思います。
もちろん今でも充分に通用する真理ではないでしょうか?
業績を上げた人が管理職になって高い職に就くのが本当に正しいのか?
上司には、業績よりも人として徳のある人が就くべきなのか?
一概には言えませんが、
長い目で見れば、業績のみの人には報酬で報い、徳の備わった人には職位を与える、方が
組織としては圧倒的に上手く行くように思います。
個人の業績は上げたが、人を育てることもできず、しかも倫理観に欠如した人が上司になれば、
部下は大変ですし、その企業にとっては大きな損失です。
それよりも、企業として社会に貢献するには、どうあるべきか、
人を育てるのはどうしたらよいか、そんなことを真剣に考えている人の方が、
結果的に企業の価値を上げてくれるのではないでしょうか?
日航が破綻したときに中心となって改革をした稲餅和夫氏が、日航の社員に言ったことは、
「自分の事を考える前に他人様のことをまず第一に考える。」つまり利他の心だったそうです。
それも西郷さんの「敬天愛人」が基礎になってのことです。
150年も前に西郷さんが言った言葉が、今でも役に立つ。
歴史を学ぶことは、本当に大事ですね。
では、次回は12月10日前後に更新予定です。
早いもので、もう師走。
「少年老いやすく、学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず・・・・」
時の経つのは本当に早いねえ、
今この時を大事に頑張りましょう!