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今から40年以上前に「見ごろ!食べごろ!笑いごろ!」というバラエティ番組がありました。その中の名物コーナーに伊東四朗扮するベンジャミン伊東と小松政夫扮する小松与太八左ヱ門(こまつよたはちざえもん)が、はるかニューギニアの火力発電所から100万ボルトの電線に乗ってやってきて”電線マン”および電線軍団として、電線音頭を歌って踊って帰っていくという、何のことかわからないコーナーがありました。
ところが、そのわけのわからない”電線音頭”が大ヒットして、子供から酔っぱらった親父まで日本全国で♪電線にぃ、スズメが三羽止まってる、それを猟師が鉄砲で撃ってさ・・・・・・ちゅちゅんがちゅん・・。♪と歌って踊って、それはまあ、賑やかなことでした。その冒頭に電線マンのベンジャミン伊東が「人の迷惑かえりみず、やってきました電線マン」と
大声で口上を述べて、全員で♪チュチュんがちゅん、チュチュんがちゅん♪と始まっていきます。これが流行ったのは私が大学生の頃でした。よく人のアパートや寮に夜中酔っぱらって行ったもんです。
さんざん安酒を飲んで、夜中に同僚や後輩の部屋のドアを静かに「コンコン、コンコン」と叩くと、中から眠たそうな声で「だれ~。」それでも静かに「コンコン、コンコン」「だれや? 夜中に」と言ってドアを開けた瞬間、私が、「人の迷惑かえりみず、やってきました電線マン!」と大声で言ったと思ったら、残りの連中が大声で「チュチュんがちゅん、電線にぃ~」歌いだし、ドカドカと入って踊りだす。部屋の住人は、何が何だかわからずあっけにとられていると、「お前も踊らんか!」とか言われてさっきまで寝ていた寝ぼけ顔の住人も「チュチュんがちゅん! 電線にぃ~」ひとしきり歌って踊って疲れると、もう寝れるもんではないので朝までマージャンをするという生活です。ひどいですねえ。ただ、3~4回そんなことをすると相手もわかってきて、「コンコン」ではドアを開けなくなってきます。その時は、外で「○○(名前)なんしとんや。電線音頭踊るド~。」とか言いながら外で歌って踊ってると、大概の人は、「わかったから中へ入れ、周りに迷惑やろうが。」と入れてくれました。
そんなこんなで40年以上たって、最近はどうも”人生幸朗”のようにぼやきたくなることが多いですねえ。人生幸朗を知らない人は、「責任者出てこい!」という決め台詞の、元気なおじいさんの漫才師というとわかるかもしれません。(わからない人は、youtubeで。)さきほどの私の例は、一応自分でも相手に悪いかなあ、とか迷惑やろうなあ、とかわかっててやっています。その証拠に必ず、やる前は「人の迷惑かえりみず、やってきました電線マン」と断っています。なので、まあ悪い中でも良いほう、中の下というところでしょうか。
ところが最近、自分が人に迷惑をかけていると全然思わずに平気でいる人が多いように思います。例えば、昼時に表に人が並んでいる食べ物屋さんでの出来事ですが、この間、お盆に九州に行って何人かでうどん屋に行ったのですが、満員で待ち時間が30分から45分とのこと、せっかく来たので仕方なく待っていると、ちょっと気になる二人ずれのオバサンがいました。(女性の人には失礼。)その店は100人くらい入る大きな店ですが、店の内外には50人くらいうどんを食べる人が並んでます。そんな中、2人は食べ終わっているにもかかわらず、ずっとしゃべり続けています。その後、15分くらいたっても、まだしゃべり続けています。そうして、ようやく店員さんを呼んだので、帰ると思いきや、「コーヒーば2つ。」と平気で注文してます。「この忙しいうどん屋で、ようコーヒーが頼めるな!何を考えてるんや。」と言いたいところを、ぐっと我慢して、さらに15分くらいたって、ようやく順番が来ました。案内された場所は、その二人のオバサンの前です。ササっと注文しても、それから茹でて持ってくるので10分くらいはかかります。その間も、まだ帰らず、しゃべり続けています。別に話の内容を聞くつもりは全く、ちっとも、これっぽちもないのですが、耳に入ってきた内容は、「この間食べた○○の饅頭がおいしかったあ。ガハハハ。」「テレビのあれ、あれたい、あの韓国の俳優。」「あ~ん、あれね。」「そうそう、あれ、よかねえ。ガハハハ」「日大の理事長の田中とボクシング協会会長の山根が、”新アンガールズ”ば結成したてたい。」「そりゃあ、おかしかねえ。ガハハハハハハハ~。」いい加減にせいよ!この忙しいうどん屋で、今話さなあかんことか!結局、私がささっと食べ終わって帰るときに、わざと大きめの声で一緒に行ってた者たちに「人が待ってるので、さっさと食べたら帰ろうか!」と言うと、それが聞こえたのか知りませんが、急に「あっ、ごめん、私、忙しかけん。帰るね。」「ごめん、私も!」嘘つけ~!
他にも、高速道路で、追い越し車線をゆっくり走っている車。追い越し車線なのに80Kmくらいで走り、しかも通常車線にも同じくらいのスピードの車があるときは、最悪ですね。そういう人に限って、我関せずで、何キロも並走しています。駅で、あと1分で発車という時に、走ってエスカレーターに乗ったら目の前で、大きな荷物と大きな体で2~3人の旅行者が道をふさいでいるとき、新幹線で、大声で叫びまわっている子供に何の注意もしない親、赤ちゃんが泣くのは我慢しますが、走り回って大声で叫びまくる幼稚園か小学校低学年の子がいると思わず、ギッと睨みつけます、ただ、一瞬静かになっても、ほんの2秒くらいでまた、「ギャ~ッ。」と大声。スマホを見ながら向こうから歩いてくる若い子たちをよけようとすると、またその後ろのスマホを見てる女子学生に当たりそうになり、いかにも変なものを見るような目で顔をゆがめて、「え~、なに。」とか言われたり、まあ、たわいもないことかもしれませんが、「責任者出てこい!」と思わず言いたくなるようなことが多いですね。
「人のふり見て我がふり直せ!」昔の人はいいことを言ってます。人のやっていることを見て、恥ずかしいなあ、とか、迷惑かけてるなあ、と感じたら、自分もそんなことをやっていないか振り返って反省しなさい。ひょっとしたら、このブログを読んでるあなたも、知らず知らずのうちに他人に迷惑をかけていることが、あるかもしれませんよ。気を付けてくださいね。
と他人事のように言ってはみましたが、例えば、私も飲みに行くと、人に飲め飲めとすすめたり、ハイボールが薄いとか、マスやお皿の上のコップに入った冷酒は、コップが溢れるだけじゃなく、コップを入れてるマスがあふれるように注げ、とか
生ビールの泡が多すぎるから入れ替えろ、とか、人に「何食べる?」とか聞いておきながら、結局自分で決める、とかは、言われますけど、まあ、人それぞれ、知らず知らずのうちに、何らかの面倒くさいことや、ちょっとだけ迷惑なことを日々しでかしているのでしょうね。
でも、それは生きてる証ですから、大目に見てこれからも楽しく暮らしていきましょう。
さて、電線音頭で日々稽古つけてた後輩や同僚も、いい年になって還暦も過ぎ、たたき起こされていた人も電線マンだった人も何人かで集まって飲みました。その際、あれ(電線音頭)は面白かったなあ、と言うと、たたき起こされていた側が、「まあ、あれから何があっても、大概のことは、あれよりましやったわ。」とボソッと言ってたのが印象的でした。「そうか、今になってみれば、迷惑じゃなく、良いことをしたんかもしれんなあ。」と勝手に勘違いし、うれしくなって、その日は、たたき起こされた側も電線音頭をくらわしていた同級生も、吐くまで飲ませてあげました。今ごろ、還暦過ぎて、吐くまで飲めたことに感謝してくれてることでしょう。「チュチュんがちゅん!」」
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