(続きを読む)をクリック
いや~、驚きました。そして、感動し、反省もしました。「天地に燦たり」素晴らしい本です。書いたのは、現ニッセン社員の川越宗一(かわごえ そういち)君と言う人です。(写真の人物)今回のブログのタイトル「未来の大先生」は決して揶揄してるわけでも、また嫌味を言ってるわけでもありません。そうなる可能性がある、そうなってほしいと言う気持ちで、このタイトルにしています。
川越君は私がニッセンの社長時代に確か初めはパートで入ってきました。コミックバンドをやりたいと言う変わり種で、はっきり言って「仕事には向かないなあ。」と言う印象でした。また、風貌からも人を笑わす感じではなく、黙っていれば「古武士」のような趣きでまた、人前では少しあがり症のところもあり、これはお笑いにも向かないんじゃないか、と勝手に思っていました。本人はまだコミックバンドの夢が捨てきれないようで、しばらくの間は腰掛程度で仕事を考えていたようにも思います。その後、コミックバンドは無理だと自覚したのでしょうか、少し仕事にも打ち込むようになったようです。
それでも仕事がデキルと言う印象は全くなく、社員には難しいかな、と思っていましたが、人間の才能は、見えているものは氷山の一角と同じで全体の10%程度でしょうか、大半は表に見えないところにあるようで、ある時、”ニッセンのスミス” という名前でEコマースのキャラクターを演じ、いろんな情報発信をする担当になりました。そうすると今まで隠れていた才能の一つが現れたのでしょう、内容が面白いし、取り上げる物事もユニークでお客様の中からは、スミスファンが急増し、とても驚きました。今までのニッセンには無かった才能です。それでもどこかアンバランスなところがあり、廊下などですれ違う時に「君、面白いねえ。」と声をかけると、直立不動で「ありがとうございますっ!」こいつ、どう見てもコミックバンドより自衛隊やな・・・と言う印象です。そのような活躍があったので、彼のことは大いに見直して、社員登用試験(面接)を経て社員になってもらいました。私はその後ニッセンを去ってしまったので社員になってからこれまでの彼の活躍は知りません。
それが、今年の4月に ”あの川越君” が松本清張賞を取ったと聞き、それは驚きました。しかし、本当の驚きはその後で
先日、久しぶりに会って何人かで食事をし、サイン入りの本をもらうと、タイトルは「天地に燦たり」とあり、コミックバンド志望の彼のことですから、現代の笑いのある推理小説かな、と思っていたら本格的な歴史小説、しかも誰もが知っている人が主人公ではなく、薩摩の大野七郎久高と言う戦国末期の侍大将とその時代に翻弄された人たちの話、とのこと。 そして、
実際に読み始めると、またまたびっくり、論語、孟子、大学、中庸、儒学等々の文献から、さらに克明に調べたその時代背景のち密さ、そして、単なる歴史小説にとどまらない「人とは何か?」「どう生きるべきか?」と言った壮大なテーマで、 読んだ後は・・・・・・すがすがしい清涼感、そして、素晴しい!の一言でした。
人の才能は、90%が普段隠れていると言いましたが、本当にそう思います。今回、川越君にはいろいろ教えられました。世の中見渡すと、才能の一部しか見えていない中で、その見えている部分だけをとらえて、大したことないとか、つまらん奴だと思い、上から目線で接する人たちは、全くもって「愚の骨頂」、自分の能力の無さを披露しているのと同じです。権威だけを振りかざす偉そうな上司、その上司に取り入って、おこぼれをもらう哀れな小心者、力もないのに自分が上だと思い他人を見下す勘違い野郎、川越君の周りにも多いのでしょうか、この小説にもそのような人たちが出てきます。本の中では次のような論語の句で批判しています。「心根のまっすぐな人を上に置けば民は従うが、曲がった人が上になると民は離れる。」まっすぐな人は、読んで字のごとく正直、まっとうな人、そして相手に礼をもって接することができる人のことだと思います。礼をもって接するとは、立場が上であろうが下であろうが、人と接するときには、相手は表で見えている以上に力があり才を持っている、だからこそ、礼をもって人に接しなくてはならない、そうすれば自ずと相手も、同様の気持ちで接してくれるでしょう。そのような関係から初めて、お互いの隠れた才能も見えるようになり、豊かな人間関係が築けるものだと思います。人を認めて、礼を尽くして人と接する、それができれば気持ちは通じ合い、争いはなくなり、延いては人の世の平和と幸せが来る。川越君のメッセージは、そんなところにあるような気がします。今回は、60を過ぎて、また新たなことを教えてもらったようで川越君には感謝しています。
みなさん、改めて周りの人をもう一度見直してみましょう。その人たちは才能の10%しか見せていないのです。残りの90%がこれから出てくると思えば、興味がわきますね。
最後に川越君、社員に向いてないとか、いろいろ書きましたが、ごめんな。
他にも今まで(今現在も)大変、礼を失した接し方をしていた方々に、この場を借りて謝りたいと思います。
髪の毛が薄い人に「おい、ハゲ太郎」と呼んだり、黙ってる人を見たら「お前、ボーっとして何も考えてないやろ。」とか、
ちょっと太った人には、「お前、まだ成長期が続いてるんか。」とか、声が大きい人には、「大体、頭が悪い奴は声が大きいんや。」とか、また、会うたびに人の顔を見て、「冴えん顔やなあ。」とか「貧乏くさい顔しとんなあ。」まだまだありますが、私の人間性を疑われかねないので、この辺にしときます。私の愛情表現と思って許してくださいね。