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小学生に、将来何になりたいか、と聞くと男の子の1位は学者・博士、女の子はパン屋・ケーキ屋等の食べ物屋さんらしいです。私は、小学校低学年の時は「月光仮面になりたい。」と言ってました。
♪どこの誰かは知らないけれど、誰もがみんな知っている♪ご存知?のテーマソングで始まる昭和30年代のヒーローです。私が小さかった時は、ようやくテレビが一般家庭に普及し始めた時代ですので、各家庭に一台ではなく、近所のちょっとお金持ちの家にだけテレビがありました。近くの子供たちは、夜の6時くらいからお楽しみの番組があるので、急いでご飯をかきこみ、三々五々集まっては、ドキドキしながら番組の始まりを待っていました。
そんな時代の男の子たちの圧倒的ヒーローが今回のタイトル「月光仮面」です。そのころ、大体の子は小学校低学年は月光仮面になりたい、小学校高学年になると野球選手、その後、伝記本などを少し読み始めると医者や学者等、それぞれ、いろんな憧れはあるのですが、総じて言うと、だんだん現実が見えてきて憧れの大きさがしぼんでくる。ような気がします。月光仮面になりたい!・・無理。 野球選手になりたい!・・無理。 〇〇になりたい!・・無理。こんな感じで何回か夢と現実を天秤にかけることを繰り返して大学を卒業するころには、ほとんど現実に近い、夢ではなく、なったらいいけど、くらいになっていきました。そうして社会に出ると、ますます現実が見えてきて、月光仮面になりたかったことなど、頭の中からすっかり消えていました。
そうしてニッセンに入って中年になったある時、「いや、待てよ。月光仮面になれるかもしれんな。」と思うことがありました。それは、自分一人の力は大したことないが、会社と言う組織を通すことで弱きを助けることは可能だなと思い、そのころから会社の究極の目的は「世のため人のため」にある、と公言するようになりました。その当時、よく社員の方には話しましたが、母子家庭の方から「ニッセンの子供服は安くて種類も豊富なので毎シーズン子供に服を買ってやることができます。ありがとう。」とか、大きなものを運ぶことができなかったが家まで運んでくれて本当に助かる、自分に合うサイズがあってうれしい等々、その他多くの感謝のお言葉をいただいたことは、今でも誇りに思っています。それから、天災等で被害に遭われた方々に対しての支援も、充分だったかどうかは分かりませんが、できる限りのことをやれて当時の社員の方には感謝しています。
今は大きな組織を動かす立場ではありませんが、顧問や取締役をしているいくつかの企業には、「世のため人のため」にと言う話もさせてもらってます。また、九州で100円パンの店を経営していますが、お年寄りの方や小さなお子様のいる家庭の方などからは、大変好評をいただいて喜ばれています。仕事を通じて、そしてプライべートでも、生きている間は小さい事でもいいので「世のため人のために」自分もできることをやって行けたらいいなと思っています。
そう言うと、「偽善だ。」とか「本気で考えてないくせに。」とか、「相手の気持ちがわからないのに」とかいろいろ言う人もいますが、私は偽善だろうが本気ではなかろうが、やらないよりやった方がずいぶん価値があるように思います。俳優の杉良太郎さんは80人以上の養子を育て、昔から福祉や支援に大変積極的に取り組んでいるのですが、その杉良太郎さんが、あるインタビューに答えて言った言葉があります。ある記者が、「あなたのやっていることは、偽善や売名行為ではないか?」と言う質問に「そうです、偽善で売名ですよ。」「偽善で今まで数十億を自腹で出してきました。私のことをそうおっしゃる方々もぜひ自腹で数十億出して、名前を売ったらいい。」と遠山の金さんよろしく啖呵を切ると、質問した記者や会場はしーんとしたそうです。そして、寄付をするお金がないと言う人には、諭すように「確かにお金がないと見栄えのよい支援はできません。ただ、お金がない人は時間を寄付すればいい、お金も時間もない人は、福祉に理解を示し、実際にやっている人に拍手を送るだけでも充分でしょう。福祉とはそんなものです。」
いや~、かっこいいですねえ。
冒頭の月光仮面のテーマソングの続きは、♪月光仮面のおじさんは、正義の味方よ、良い人よ。♪です。まあ、正義の味方にも良い人にもまだまだですが、確実に「おじさん」には、なってますね。「えっ、おじさんじゃなく、おじいさん?」「うるせい!」